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1.ラウンジにて
その日、私は横浜のとあるホテルのラウンジにいた。 インターネットのSM系出会いサイトで知り合った、横浜市に住む友子(ともこ)と会うためである。
SM系に限らず、出会い系サイトはなかなかハードルの高いものである。 お互い、顔の見えない中での会話であり、しかもメールの文章とフェイス・トゥ・フェイスの会話とでは、同じ時間で伝えられる情報量が100倍くらい違うであろうことから、メールの場合はファースト・コンタクトから実際に会うまで、結構な時間を要するものである(当時はLINEやカカオトークはありませんでした)。
特に、女性にとっての出会い系サイトは本当にハードルが高い。 男性よりも、女性のほうが様々なリスクが高いのは当然であるため、ことさら慎重にならざるを得ないであろう。
実際に、私と友子が会うに際しても、最初のコンタクトメールからこの日まで一カ月程度かかっていた。 その間に、何度もメールをやりとりして、雑談からSMのことまで本当にたくさんの話をし、お互いの信頼感が醸成できて、この日に至ったのである。 (ちなみに、この頃の経験に基づき、自分という人間とそのSM観、調教スタイルなどをスムーズにM女性に知ってもらい、安心して話していただくためにはどうすれば良いかとう観点から確立されたのが、ブログによって幅広く自分の情報発信を行うという現在の私のスタイルです)。
メールのやりとりの中で、かなりいろいろなやり取りをしたことから、私には友子の人物像がすでにイメージできており、誠実なM女性であるという確信があった。
時計が約束の時間を指す。 友子はまだ来ない。 こういう時、相手との信頼関係がなければ「イタズラだったかな?」とも思うのであるが、友子については、そういう疑念は全く持っていなかった。
3分後、友子が到着した。 「ごめんなさいTさん、遅くなってしまって」
少し息を切らしている。 家を出るのが少し遅れたため、最後はずっと小走りで来たそうだ。 初冬であるにもかかわらず、少し汗ばんでいるように見えた。
友子が薄手のコートを脱いで、席に座ると、私はフロア係を呼んだ。 「友子さん、何にしますか?」
2.寄り道
軽くランチをとりながら、私と友子はいろいろな話をした。 高校や大学時代のこと、趣味のこと、仕事のこと、少しだけ家庭のこと。 そして、徐々にSMの話題にはいっていった。
友子がSMに興味をもったのは、レディース・コミックが発端であった。 私は読んだことはなかったが、当時のレディース・コミックは結構過激な内容の作品も多く、SMをテーマにしたものも複数あったようである。 最初は胸の内に秘めていたが、そのうち想いが抑えられないようになり、SM系出会いサイトを閲覧するようになり、私と出会ったのである。
SM系出会いサイトの参加者は、私が想像するに、女性1に対し男性30くらいの割合ではないかと思う。 当然、M女性のほうが圧倒的に少ない訳で、友子に聞いた話では、友子が投稿した記事へのレスが150件もあったとのことであった。 そんな中で一人を選ぶ訳であるから、それはそれで本当に大変な作業であろう。 つまり、SM系出会いサイトは、S男性にとっては競争倍率が最大のハードルで、M女性にとっては大量のメールの中からの選択と見極めが大変な労力なのだ。
そんな話をしているうちに、初対面にも関わらず、私と友子はすっかり打ち解けていき、呼び方も「友子さん」から「友子」に変わっていた。 メールでのコミュニケーションを重ねたことにより、私への信頼感も強く感じられた。 通常は、このタイミングで、SとMのパートナーになることの意思確認をライトに行い、次回の約束をするのであるが、どうやら友子にはそんな野暮なことをしなくても良さそうであった。 私は思い切って、初回から友子を誘ってみることにした。 食後のコーヒーを飲みながら、私は切り出した。
「友子、この後時間ある?」 「エッ? あ、はい。17時くらいまでだったら大丈夫です」
「そう、じゃあ、ちょっと寄り道していかない?」 「・・・? 寄り道・・・ですか?」
「そう、面白いお店があるんだ」 「そうなんですか。では、ご一緒させてください」
「じゃあ、行こう」 私はウェイターを呼び、テーブル・チェックを済ませ、友子と二人でラウンジを出た。
3.セビアン横浜店
ラウンジを出た私は友子にこういった。
「ちょっと不便な所にあるからタクシーで行こう」 「わかりました」
私と友子はタクシーに乗り込んだ。
「運転手さん、曙町まで。」
車がゆっくりと走り始める。 初冬の横浜の町は、木々の葉も落ち、冬支度が始まっているようであった。
友子は、カフェかどこかに行くのかと思っていたかもしれないが、私が向かったのはSMグッズの老舗である、セビアンの横浜店である。 今はもう退店してしまったが、2008年までは横浜にもセビアンがあったのである。
「運転手さん、そこでいいよ」
車をとめて、私と友子が降りる。 多分、今はもうないであろうが、当時、セビアンの前には電化製品の量販店があった。
「●●●電機?」
友子が、不思議そうに私の顔を見る。 そのタイミングで、私は寄り道の目的を友子に告げたのである。
「ちがうよ、友子、向かいの店だよ」 「?」
カフェか何かを想像していたであろう友子は、一生懸命、店を探している。
「友子、これからSMグッズの店に行くんだけど、一緒について来れるよね?」 「エッ!? ・・・」
暫く固まってしまう友子。 私は、友子の目を見ながら、優しく諭した。
「僕と友子は、もうSとMのパートナーでしょ?、信頼して。」
一瞬の間があったが、友子はすぐに決心を固めたようだ。
「わかりました。ご一緒させてください」
私はゆっくりと頷き、友子の手を握った。 そして、横断歩道を渡って、ゆっくりとセビアン横浜店に向かって歩いて行った。
「手をしっかり握って。周りを気にしないで、さあ、入るよ」
私は友子が躊躇しないようにリードしながら、セビアンのドアを開けた。
4.友子の首輪
店内にはいると、昼間と言うこともあって客は我々だけであった。
店内は静かであるが、単なる大人のおもちゃの店ではないSMグッズ専門店特有の、一種独特な空気が流れている。 私は慣れているが、そのような店にはいることはまず無いであろう友子は、目が点になっているようで、その姿を見た私は思わず笑いそうになるのを堪えたのであった。
まずは、当たり障りのないところでコスチュームのコーナーへ。 非常に露出度の高いランジェリーや、バド・ガールのタイトミニワンピなどがかけられている。 そのうちの一着を手にとった私は、友子に見せながら囁いた。
「こんなの、友子に似合いそうだね」
友子は目を丸くして、そのランジェリーを見つめたあと、恥ずかしさからうつむいてしまった。 こうなると、もう私のペースである。 一種の羞恥プレイのようなものであり、M女性を言葉で苛めていくだけである。
その後も、ゆっくり時間をかけながら店内を歩き、わざと大きな声でグッズの使い方などを友子に説明していく。
ローター、バイブ、ニップル・リング、ボールギャグ、指錠・・・ 友子は、恥ずかしながらも、やはり興味が抑えきれないのか、私の説明を頷きながら聞いていた。
さすがに、男性器の形をして、色も肌色で実物にそっくりなディルドゥを見せた時には、恥ずかしくて目を逸らせてしまう友子であった。
やがて、皮革拘束具のコーナーに来ると、私は赤い首輪を手にとり、友子に告げた。
「友子、首輪を買ってあげるよ。さぁ、着けてみようか」
友子は身体を固くして、じっと私を見つめている。 きっと、入店する時にある程度の決心はしていたのだろうが、実際に首輪をつけるのは、M女性にとって本当に勇気のいるものであろう。
「さあ、着けるよ」
私に促されて、友子が少し顔をあげた。 首輪をされることを受け入れた瞬間であった。
間髪いれず、私は首輪を友子の首に着け、そしてしっかりと留めた。 細身の友子には、Mサイズの首輪が最も細くなる部分で留めてちょうどであった。 首輪のリングをグッと引きつけると、友子が少しよろけて私にしな垂れかかって来た。
「友子、17時まで大丈夫だったね?」 「エッ? エエ・・・」
「道具を買ってホテルへ行こうね。」 「・・・ハ・・・ハイ・・・」
少し躊躇しながら、友子はこのまま調教されることを受け入れたのである。
その後、首輪・ロープ・指錠・防水ローター・ディルドゥ・ローション・目隠しなど、必要最低限のものだけを買いそろえ、レジに向かった。 もちろん、友子にはレジに行くまでは首輪をはずすことを許さなかった。他に客がいれば許してあげたが、幸いにも店内はずっと我々だけだったため、首輪をはめたまま店内を歩かせたのである。 ある意味、奴隷としての友子への最初の調教であった。
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東京都心の某区在住のS紳士でMaster Tと申します。 ブログで、私の調教実録を調教ファイルとして掲載しています。 リアルな調教実録に関心がある方は是非どうぞ。 ご主人様をお探しのM女性も是非お立ち寄りください。
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